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【投資】ディフェンシブ銘柄の王道:鉄道株「JR4社」を徹底比較

JRは4銘柄が株式市場に上場しています。

それがJR東日本・東海・西日本・九州の4社です。

2021年3月期の決算展望

各社ともコロナの影響で大打撃を受けており、業績回復に時間がかかっています。2021年3月期の決算は、1987年の民営化以降最大の赤字の見込みとなっています。

会社連結最終損益
(21年度予想)
連結最終損益
(前年度実績)
JR東日本△4,180億円1,984億円
JR東海△1,920億円3,978億円
JR西日本△2,400億円893億円
JR九州△284億円314億円
(各社決算資料より筆者作成)

直近1年間の株価騰落率

次に、直近1年間の株価騰落率を見ていきます。

会社時価総額株価(20/1/7)株価(21/1/6)年間騰落率
JR東日本2.4兆円9,774円6,542円-33.06%
JR東海2.8兆円21,925円14,160円-35.41%
JR西日本0.9兆円9,512円5,260円-44.70%
JR九州0.3兆円3,670円2,154円-41.31%
(JR4社の年間騰落率)

JR4社ともコロナが始まる前の株価水準に戻っておらず、大体30%~40%程株価が下落しています。

JR各社の財務状況

会社営業利益率
(20/3)
自己資本比率
(20/3)
配当利回り
(21年度予想)
配当性向
(20/3)
JR東日本12.92%36.9%1.53%30.12%
JR東海35.57%39.9%0.92%7.43%
JR西日本10.65%34.1%1.90%39.18%
JR九州11.42%49.9%4.31%49.79%
(JR4社の財務状況と配当-IR Bankより筆者作成)

営業利益率はJR東海がダントツでトップとなっていますが、これは新幹線事業によるものです。また、自己資本比率はどこも30%後半以上あるので、今すぐに経営が傾く心配はないと考えられます。配当利回りはJR九州が4.31%とかなりの高配当となっています。下記にもありますが、2021年度までは、1株当たり配当金93.0円を下限として配当を行うとあるので、今年度中は高い配当が約束されていますが、来年度以降はまだ未定です。ですので、業績次第では減配となる可能性があるということを念頭に入れて置いた方が良いでしょう。

各社の株主還元の考え方

JR東日本

JR東日本は、JRの中核ならではの「安定の配当」「自社株買いに」による株主還元を計画しています。配当性向30%を目指すとのことなので、業績が2020年3月期の頃に戻れば、安定した株主還元が期待できそうです。

JR東海

JR東海は、上のグラフにもある通り右肩上がりの純利益に比例して年間配当金も増加していきました。ただ、配当利回りは0.92%とJR4社で最低水準にあります。これは、「株主還元に積極的でない」ということではなく、「今後成長が見込める事業に積極的に投資をしている」という意味だと僕は捉えています。実際、上の表の下部に赤線が引いてある箇所は「中央新幹線計画等の各種プロジェクトを着実に推進するために内部留保を確保」とあります。

このことから、JR東海はJR4社の中で最も成長が見込める筆頭株と僕は見ています。

JR西日本

JR西日本は、JR4社の中で株価の年間騰落率が-44.70%と、最も下落している銘柄です。確かにJR西日本は他の3社に比べて何か特別に優れているものがあるようには見えません。そのような中でも、ベンチャー投資には積極的なようで、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を設立し自社とシナジー効果のある企業に出資をしているようです(参考:東洋経済ONLINE

JR九州

JR九州は現在配当利回りが4.31%と、JR4社で最も高い水準となっています。また、高い配当水準の維持と状況に応じた自社株買いの可能性についても言及しており、強い株主還元への姿勢が見て取れます。

しかし、JR九州は2016年10月25日に新規上場をしたばかりで、時価総額も3,388億円とJR東日本(2兆4,724億円)の7分の1程度しかないため、まだまだ財務基盤が盤上とは言えません。加えて、九州地方は人口減少に伴う鉄道の利用者減が見込まれることから、運輸部門の更なる改革や不動産・ホテル事業等を通した地域活性化の取り組みに期待しています。

まとめ:鉄道株、今は買い(でももっと下がるかも)

JR4社とも、財務状況的には問題ないと思います。

しかし、コロナの影響がどこまで続くか分からない現状だと、まだまだ株価が下がる余地はありそうです。

様々な識者やメディアが、コロナ後も旅行客が増えないと言っていますが、僕はコロナが落ち着いたら再び利用客は増えると思います。なぜなら「移動して、新しいモノやヒトと出会う」のは人間の根源的な欲求だからです。ですので、僕は短期的にも、長期的にも鉄道株は今は買い時だと考えています。

一言で4社を評価するなら、「安定」のJR東日本、「成長」のJR東海、「割安」のJR西日本、「配当」のJR九州だと思います。

皆さんの参考になれば嬉しいです!

※当ブログでは特定の銘柄に関する記述がありますが、投資を推奨するものではありません。投資の際は自己判断でお願いします。