ETF

中米最大の国であるメキシコに投資ができるETF【EWW】を紹介

EWWはiシェアーズMSCIメキシコETFと言います。「MSCIメキシコ・インベスタブル・マーケット・インデックス」への連動を目指しています。経費率は2021年1月10日時点で、0.51%、純資産総額は14億3,900万ドル、大手のブラックロック社が運用しています。

メキシコのマクロデータ(人口や経済成長)

先ずは人口を見てみましょう。

2019年のデータでは、メキシコは中米最大の世界第10位の人口(約1億2,750万人)がいます。日本が1億2,680万人で世界第11位なので、人口はほぼ日本と一緒です。国連の世界人口推計によればメキシコは今後も人口が増え続け、2050年には人口が1億5,000万人を越えると予測されています。

次に、メキシコの経済成長を見ていきましょう。

このデータによれば、GDP成長率は大体2%~3%を推移しています。東南アジアの急成長国と比べると見劣りはしますが、着実に経済が成長しているのが見て取れます。

また、IMF(2019年)のによれば、メキシコは世界の1人当たり名目GDP(要は年収)ランキングで、国別で71位となっています。これは、南米のブラジル(第77位)よりも高く、タイ(第82位)、インドネシア(第118位)よりも高いので、経済はある程度成熟期に突入しているとも言えそうです。(ちなみに日本は第25位)

iシェアーズMSCIメキシコETF【EWW】の運用実績とチャート

設定は1996年3月12日となっています。

設定来のパフォーマンスは8.06%、直近1年間のパフォーマンスはマイナス3.41%です。

設定来のチャートを見ると、2013年の3月に75ドル近辺の高値を付けています。また、サブプライムローン問題に端を発する金融危機時(2009年)には、23ドル台まで株価を下げましたが、今回のコロナショックでは25ドル台までの株価の下げとなっています。

直近1年間のチャートを見ると、2020年3月4日に付けた43.89ドルを上にブレイクアウトしていることから、上昇基調にあることが分かります。次なるターゲットは、コロナショック前の2020年2月12日に付けた47.86ドルで、ここを超えれば本格的な上昇局面に入ると予想されます。

iシェアーズMSCIメキシコETF【EWW】の分配金実績と利回り

分配金
2020年0.6ドル
2019年1.31ドル
2018年0.94ドル
2017年1.08ドル
2016年0.79ドル
2015年1.15ドル
2014年0.73ドル
2013年1.18ドル
(EWWの分配金実績)

分配金は2020年の0.6ドル~2019年の1.31ドルと、安定した分配金と言うよりは、「変動が大きい」ことが分かります。

直近の分配金利回りは株価(45.09ドル)に対して、1.3%となっています。また、仮に分配金が2019年の1.31ドルのレベルに戻った場合は、分配金利回り2.9%の水準まで上昇します。

iシェアーズMSCIメキシコETF【EWW】の構成企業とセクター

2020年12月31日現在、保有銘柄数は48となっています。

以下に、組入上位10銘柄を示します。

保有銘柄トップの「アメリカ・モビル(AMXL)」は、国内通信最大手です。フォーブスが世界のトップ公開企業2,000社を順位付けした「グローバル2000」ランキングでも157位となっており、日本の通信会社「KDDI」の121位にも匹敵するランクとなっています。

保有銘柄第2位の「ウォルメックス(WALMEX)」は、皆さんもご存知、米小売り大手チェーン「ウォルマート(NYSE:WMT)」の子会社です。

続いて保有銘柄第3位の「フォメント・エコノミコ・メヒカノ(FEMSAUBD)」は、コカ・コーラのボトリング事業やメキシコ最大のコンビニチェーンの経営をするなど、小売業で多角的な事業を展開しています。

保有銘柄第4位は「グルポ・フィナンシエロ・バノルテ(GFNORTEO)」で、メキシコ最大の銀行の一つで年金基金管理では国内最大手となっています。

そして第5位の「グルポ・メヒコ(GMEXICOB)」は国内大手の鉱山会社で、直近1年間で80%近く株価が上昇しており、コモディティ価格の上昇の影響を受けています。

セクター比率としては、生活必需品が29.11%でトップ、続いて通信・素材・金融となっています。

まとめ:バイデン政権になり、メキシコには追い風か!?

メキシコは地理的に米国と隣接していることもあり、輸出のおよそ8割を米国が占めています。輸出品目には、自動車や石油、鉱物、電気機器などがあります。

おそらく皆さんも聞いたことがあると思いますが、トランプが「アメリカ・ファースト」を掲げ、メキシコからの輸入品に対する関税を上げることで自動車メーカーの生産拠点をメキシコから米国に戻すような政策を行っていました。

バイデン政権になれば、トランプ政権下のように極端な政策を掲げることは考えにくく、メキシコに対しても現行制度(USMCA:米国・メキシコ・カナダ協定)を踏襲した現実的な政策の実行になる見方が大きいです。

そういったことからも、米国とメキシコの不確実性リスクは緩和され、より投資しやすい状況になるではと僕は考えています。

また、メキシコ自体に目を向けても、「中米最大の国」「人口が世界トップ10」「GDP増加傾向」「鉱物資源が豊富」というような特徴を考えるとメキシコETF「EWW」を国際分散投資の一部として組み入れることは、有効な選択肢となると思います。

※当ブログでは特定の銘柄に関する記述がありますが、投資を推奨するものではありません。投資の際は自己判断でお願いします。