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ドル建ての新興国の国債にまとめて投資ができるETF【EMB】を紹介

EMBはiシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETFと言います。「JPモルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・グローバル・コア・インデックス」への連動を目指しています。2021年3月13日現在、経費率は0.39%、純資産総額は167億700万ドルで72番目に大きいETFとなっています。運用は大手のブラックロック社が行っています。

iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF【EMB】とは

EMBの特徴を簡潔に挙げてみます。

  1. ドル建ての新興国国債に投資をするETF
  2. 30を超える新興国の国債にまとめて投資ができる
  3. 高利回りが期待できる

ざっとこの3つがEMBの特徴として挙げられます。

個人投資家にとっては、新興国の国債を買いたいと思っても、単独で買うには勇気が要りますよね。このEMBというETFは、インドネシアやフィリピン、カタール、ブラジルなど新興国が発行しているドル建て国債にまとめて投資ができるETFです。

日本やアメリカの国債と違い、新興国が発行する国債は利回りが高いです。利回りが高い分、国がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性も高くなるのですが、EMBでは30を超える新興国が発行する債券に分散投資がされており、個別で投資をするよりもリスクが抑えられていると言えます。

iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF【EMB】のチャート

(EMBの設定来チャート)

2007年末の設定来チャートを見ると、2008年リーマンショック時に-35%、2020年のコロナショック時に-27%価格を下げていますが、それ以外は比較的値動きは安定している印象を受けます。

続いて、直近1年のチャートを見てみましょう。

(EMBの直近1年のチャート)

これを見ると、コロナショック以降順調に価格が上がっていましたが、2021年に入ってから他の債券ETFと同じように価格を下げており、2020年の年末の高値から-6%程下げています。

iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF【EMB】の分配金実績と利回り

分配金
2020年4.50ドル
2019年5.17ドル
2018年5.86ドル
2017年5.27ドル
2016年5.32ドル
2015年5.11ドル
2014年4.50ドル
2013年5.14ドル
(EMBの分配金実績)

分配金は4.50ドル~5ドル台となっています。

2020年実績の分配金利回りは現在の株価(108.46ドル)に対して、4.15%と高利回りになっています。

iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF【EMB】の構成と信用格付け

2021年3月現在、544種類の新興国債券に分散投資されています。

以下に、保有比率が高い国債の発行体(国)を挙げます。

国債発行体保有比率現時点の国債格付け
(S&P社の格付け参考)
カタール4.09%AA-
トルコ3.99%BB-
サウジアラビア3.96%A-
ロシア3.65%BBB-
フィリピン3.38%BBB+
コロンビア3.31%BBB-
ブラジル3.18%BB-
ドミニカ共和国3.07%BB-
エジプト2.98%B
インドネシア2.94%BBB
ブラックロック公式HPより筆者作成)

・S&P格付けの定義

S&P格付けの定義は、次のようになっています。(S&P社HP参照

AAA・・・金融債務を履行する能力は極めて高い

AA・・・金融債務を履行する能力は非常に高い

A・・・金融債務を履行する能力は高いが、経済状況の悪化の影響をやや受けやすい

BBB・・・金融債務を履行する能力は適切であるが、経済状況の悪化によって債務を履行する能力が低下する可能性がより高い

BB・・・状況によっては債務を履行する能力が不十分となる可能性がある

B・・・経済状況が悪化した場合には、債務を履行する能力や意思が損なわれやすい

CCC・・・事業環境、金融情勢、または経済状況が悪化した場合に債務者が債務を履行する能力を失う可能性が高い

CC・・・S&Pが債務不履行が事実上確実と予想する場合に「CC」の格付けが用いられる

上記のS&P社の格付けの定義の中で、BBBまでが「投資適格債」、BB以下が格付けが低い「ジャンク債」と呼ばれます。上記の国債の発行体の中で、投資適格債とジャンク債に分けてみました。参考までに、日本のドル建て国債の格付けはA+で、アメリカの国債はAA+となっています。

格付け国債発行体(国)
投資適格債(AAA~BBB)カタール、サウジアラビア、ロシア、
フィリピン、コロンビア、インドネシア
ジャンク債(BB以下)トルコ、ブラジル、ドミニカ共和国、エジプト

新興国の国債と言うと、いかにも格付けが低いイメージがあったのですが、以外とBBB以上の投資適格債が多く含まれていました。

まとめ:EMBは高利回りが享受できるインカム投資になる

改めて、EMBは新興国の国債に投資をすると言っても、カタールやサウジアラビア、UAE等格付けが高い国の国債も含まれているんですね。ですから、そこまで投資を怖がる必要はないのかなと感じました。

また、EMBの買い時については、現在債券が売られ価格が下落傾向にあるので少し様子を見ようかなと思っています。個人的な目安としては、105ドル近辺を考えています。理由としては、2018年の年末に大体105ドルを少し下回る水準まで落ちて反発しているので、その辺りが最初の抵抗ラインとなるのではと思うからです。

いずれにしても、この低利回りの時代に4%~5%の利回りを享受できるのは大きいですね。

リスク管理をした上で、ポートフォリオに組み込む価値はアリだと思います。

※当ブログでは特定の銘柄に関する記述がありますが、投資を推奨するものではありません。投資の際は自己判断でお願いします。