HYGはiシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETFと言います。「iBoxx米ドル建てリキッド・ハイイールド指数」への連動を目指しています。2021年3月10日現在、経費率は0.49%、純資産総額は209億9,300万ドルで米国全体のETFの中で56番目に大きいETFとなっています。運用は大手のブラックロック社が行っています。
ハイイールド社債ってなに?
ハイイールドとは、英語でHigh Yield(高い利回り)という意味です。つまり、HYGは高い利回りを提供する社債に投資しているETFと言うことができます。
ここで気を付けるべきことは
高利回りの社債 = 信用格付けが低い
低利回りの社債 = 信用格付けが高い
ということです。
HYGは、高利回り(=信用格付けが低い)社債を集めたETFということになりますね。HYGはFord Motorの社債が組み込まれていますが、Ford Motorの格付けはBB+となっており投資適格水準のBBBよりも低い格付けとなっています。
一方で、以前記事でも紹介したLQDはAppleやJPモルガンチェースなど、格付けが高い(=低利回り)企業の社債で構成されています。
iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF【HYG】のチャート

2007年の設定来チャートを見ると、やはり2008-2009の年リーマンショック時と2020年のコロナショック時に暴落を経験しています。リーマンショック時が-38%、コロナショック時が-22%なので、債券ETFと言えども大きな下げ幅となっていますね。参考に、S&P500ETFの「IVV」の下げ幅はリーマンショック時が-52%、コロナショック時が-32%なので、HYGは株式に近い下げ幅を記録していることが分かります。
iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF【HYG】の分配金実績と利回り
年 | 分配金 |
2020年 | 4.26ドル |
2019年 | 4.39ドル |
2018年 | 4.49ドル |
2017年 | 4.47ドル |
2016年 | 4.56ドル |
2015年 | 4.75ドル |
2014年 | 5.09ドル |
2013年 | 5.66ドル |
分配金は、2013年から2020年にかけて段々下がってきていますね。
2020年実績の分配金利回りは現在の株価(86.11ドル)に対して、4.95%です。さすが、ハイイールドだけあって分配利回りも高いですね。
iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF【HYG】の構成と信用格付け
2021年3月現在、1,300種類のハイイールド社債に投資されています。
以下に、保有比率が高い社債の発行体(企業)を挙げます。
有名どころで言えば、前述にもあるようにFord Motor(フォード)がありますね。老舗の自動車会社ですが、S&Pグローバル・レーティングによるとBB+(投機的水準)となっています。また、ソフトバンクGが投資していることで知られているT-MobileもBBです。
では、全体の信用格付けの構成を見てみましょう。
BBが55.48%、Bが31.41%、CCCが11.77%と続いていますね。いわゆる「ジャンク債」で構成されていることが分かります。
iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF【HYG】の買い時
もう一度、HYGの設定来チャートを見てみましょう。

HYGは、右肩上がりでも右肩下がりでもなく、ほぼ一定水準の価格を保っています。しかし、株価暴落時には、HYGは株価と同じくらい値を下げています。
ここから分かるのは、「HYGは株式と同じくらい値を下げることがあるのに、株式ほど値上がりは見込めない」ということです。
では、HYGはいつ買えばよいのでしょうか?
僕は、「株価暴落時」だと思います。
実際株価暴落時にHYGを買っておけば、値上がり益も享受できるし、5%以上の高い分配金も毎年入ってくることになります。株式と異なり、値上がりが見込めないHYGのような金融商品は、買うタイミングが非常に重要だと考えます。
まとめ:HYGは、高い分配金は見込めるが暴落には弱い
この一言につきると思います。
HYGは、他の債券ETFとは違い、暴落時のヘッジとはなりません。むしろ、暴落をある程度覚悟した上で、5%近い高い分配金を得たい方向けのETFだと思います。
リスクを理解した上で、買い時がきたタイミングで仕込む。
そんな買い方ができれば、HYGは長期保有しながら毎年分配金(キャッシュフロー)を生んでくれる素晴らしいお供になるかもしれません。
※当ブログでは特定の銘柄に関する記述がありますが、投資を推奨するものではありません。投資の際は自己判断でお願いします。