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トラッカー・ファンド・オブ・ホンコンETF【2800】を紹介

2800はトラッカー・ファンド・オブ・ホンコンと言います。「香港ハンセン指数」への連動を目指しており、香港株式市場に上場しています。通貨は香港ドル建てで、経費率は2021年1月26日時点で0.10%、純資産総額は1,031億香港ドル(約1兆3,700万円*1香港ドル=13.38円で換算)です。世界三大運用会社の一つである、ステート・ストリート社が運用しています。

はじめに:トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン【2800】に投資をするとはどういうこと?

皆さんご存知のように、香港は中国との繋がりが強く、中国抜きに話を進めることはできません。ですので、先ずはマーケットを通した中国と香港の関りについて軽く触れます。

中国市場には、「上海証券取引所」と「深セン証券取引所」があります。しかし、この二つの市場は規制が多く外国人投資家に開かれたマーケットではありません。よって、外国人投資家の大半は、「香港証券取引所」を通じて中国や香港の会社に投資をします。

そして、香港の主要株に連動する株価指数のことを「香港ハンセン指数」と呼びます。この中には、中国に登記している「中国企業」の株式も一部含まれるため、香港ハンセン指数に連動するETFである2800に投資をするということは、香港の株式だけでなく中国株式にも投資をしているということを理解する必要があります。

トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン【2800】のチャート

設定は1999年11月11日となっています。

2008年来のチャートを見ると、2018年に33ドル台を突破して以来、下降傾向にありましたが、また最近持ち直してきました。

次に、直近1年間のチャートを見ると、既にコロナ前の水準を突破しており、2020年の暮れからは急上昇を見せています。実際、1年前(1月29日)の終値が27.30ドルで、現在(1月27日)の終値が29.46ドルですから、コロナ前と比べて約8%株価が上昇していることが分かります。

トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン【2800】の分配金実績と利回り

分配金(香港ドル)
2020年0.75ドル
2019年0.93ドル
2018年0.95ドル
2017年0.93ドル
2016年0.78ドル
2015年0.81ドル
2014年0.84ドル
2013年0.73ドル
(2800の分配金実績)

分配金は0.70ドル~0.90ドル台を推移しています。

2020年実績の分配金利回りは現在の株価(28.70ドル)に対して、2.61%です。

トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン【2800】の構成企業とセクター

2021年1月28日現在、保有銘柄数は52となっています。

以下に、組入上位10銘柄を示します。

保有銘柄第1位「テンセント」

保有銘柄第1位は「テンセント」です。

世界で6番目に大きい巨大企業で、時価総額は2021年1月時点で8,480億ドル(約87兆円)と、日本で一番時価総額が大きいトヨタ(約20兆円)の4倍以上となっています。

テンセントは中国版のLINEのようなメッセンジャーアプリ「WeChat」を運営しており、月間11億人を超えるユーザー数を獲得しています。また、ニュース、映像、ブラウザ、音楽、モバイル決済など巨大プラットフォームを構築している他、ゲーム売上高が世界トップと多大な影響力を持つ会社です。

保有銘柄第2位「AIAグループ」

保有銘柄第2位は「AIAグループ」です。

この会社は香港に本社を置く、保険会社です。

アジア・オセアニア地域を中心に18の地域で事業を展開しており、フォーブスが選ぶ「世界で最も大きい保険会社ランキング」でも9位にランクインしており、日本でも有名なチューリッヒ生命よりも高評価を受けています。

保有銘柄第3位「HSBCホールディングス」

保有銘柄第3位は、「HSBCホールディングス」です。

HSBCは、世界最大級のメガバンクです。イギリスに本社を持ちますが、元々は香港で設立された香港上海銀行を母体としています。世界でもトップ10に入る資本力を持つ銀行の一つです。

保有銘柄第4位「メイトゥアン(美団)」

保有銘柄第4位は、「メイトゥアン(美団)」です。

美団は、食品配達など生活関連サービスを提供する会社で、中国のテクノロジー企業の中ではテンセント、アリババに次ぐ時価総額第3位の企業となっています。実際、コロナ前の株価約100香港ドルから、現在は350香港ドルを超えており、実に3.5倍も株価上昇しています。

保有銘柄第5位「中国建設銀行」

保有銘柄第5位は、「中国建設銀行」です。

中国建設銀行は、中国の4大商業銀行の一つです。世界で見ても2021年1月時点、JPモルガン・チェース、中国工商銀行、バンク・オブ・アメリカに次ぐ時価総額(約20兆円)を持つ銀行となっています。

保有銘柄第6位「アリババ」

保有銘柄第6位は、「アリババ」です。

皆さんご存知のアリババも、ポートフォリオに組み込まれています。2021年1月現在、アリババの関連会社であるアントグループが上場延期になったり、独占禁止法の疑いで中国当局から調査を受けたりと、様々なニュースが飛び交っています。株価もそれに呼応するように乱高下を繰り返していますが、長期的に見てアリババは引き続き高い影響力を持つ企業であることには変わりないでしょう。

セクター比率

次にセクター比率ですが、金融が41.0%、ITが25.7%と全体の約7割を占めており、続いて一般消費財、建設、ヘルスケアと続いています。

トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン【2800】に投資する方法

現在、SBI証券・楽天証券・マネックス証券などの主要ネット証券会社から「トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン【2800】」を購入することが可能です。

ここではSBI証券を例に説明していきます。

SBI証券では「外国株式取引口座」から購入ができます。

購入時手数料は以下の通りです。

購入時手数料:約定代金の0.26%(税込0.286%)

  • 最低手数料:税込51.7香港ドル(698円)
  • 上限手数料:税込517香港ドル(6,980円)

※2021年1月30日時点のデータ、1香港ドル=13.50円で計算

次に、決済方法ですが、SBI証券では「円貨決済」か「外貨決済」を選ぶことができます。香港ドルは為替の変動があまりない通貨なので、円貨決済か外貨決済かはあまり気にしなくて良いと思います。外貨決済の場合は、事前にSBI証券の口座内で為替取引(円⇒香港ドル)を行う必要があります。(参照:SBI証券「為替取引」

「2800」は香港ドル建てなので、円貨決済でも外貨決済であっても、「円⇒香港ドル」に両替する必要があります(円貨決済の場合は自動的に為替取引が行われます)。その際為替取引手数料として0.15円が上乗せされます。

例えば、為替相場が1香港ドル=13.50円の場合、13.50円に0.15円が上乗せされて、13.65円で為替が取引されるということです。この0.15円の為替手数料のことを、「為替スプレッド」と呼びます。2021年1月30日現在、香港ドルの為替スプレッドは0.15円と、米ドルの0.25円よりも安いので、このスプレッドは安いと考えて良いでしょう。

以上、「購入時手数料」と「為替スプレッド」について理解すれば、自分のリスク許容度の範囲内でお手持ちの証券口座で取引することができます。

余談になりますが、SBI証券で「2800」を探す際は「02800」と入力しましょう。2800だと見つからない場合があります。

最後に:香港を取り巻く政治的リスクには注意

香港ドルは、「ドルペッグ制」と言って、米国ドルとの為替変動が「1米ドル=7.75~7.85香港ドル」に固定されています。それにより為替相場の安定は今のところ”保障”されていますが、昨今の香港を取り巻く環境を考えると、いつこの「ペッグ制」が崩れるか分かりません。

ただし、香港金融管理局の総裁によれば、現在香港は4,400億米ドル(約48兆円)を超える外貨準備を保有しています。これが香港ドルの信用を保証しており、今すぐ問題になるようなことはないとされています。(参照記事:東洋経済オンライン

政治的には、中国政府の「国家安全法」導入により香港の「一国二制度」の継続に世界中から疑問の目が投げかけられています。そのような中で香港の抱える潜在的なリスクは今後も続くでしょう。

それでも、現状香港ドルの安定性は保たれており、日本人が香港ドルを保有することがすぐにリスクになることはないだろうと思います。加えて、中国の経済成長は誰もが認めるものであり、そこに投資をしてリターンを得るというのは経済合理的には当然のことです。その中で香港ETFの「トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン【2800】」は「通貨分散と中国の経済成長」に期待ができる投資先だと考えます。

※当ブログでは特定の銘柄に関する記述がありますが、投資を推奨するものではありません。投資の際は自己判断でお願いします。