EPOLはiシェアーズMSCIポーランドETFと言います。「MSCIポーランド・インベスタブル・マーケット・インデックス」への連動を目指しています。経費率は2021年1月15日時点で、0.59%、純資産総額は2億8,000万ドル、大手のブラックロック社が運用しています。
ポーランドのマクロデータ(人口や経済成長)
先ずは人口を見てみましょう。
2019年のデータでは、ポーランドの人口は約3,780万人で世界第38位となっています。人口で言うと大体カナダと同じくらいです。ヨーロッパの中では8位で、ドイツやフランスなどの大国よりは少ないですが、オランダやベルギーよりも多く、比較的人口が多い部類に入ります。
しかし下のグラフを見ると、人口は将来にかけて減少傾向にあり、2050年には人口は約3,300万人になることが予想されています。
次に、ポーランドの経済成長を見ていきましょう。
一人当たり名目GDPは順調に伸びており、実質GDP成長率も平均して3~4%程成長しているので、かなり安定した成長が見て取れます。
ただ、IMFによれば、2020年のヨーロッパの平均一人当たり名目GDPは27,520ドルに対して、東欧のポーランドは15,300ドルなので、所得水準で言うと西欧や北欧諸国(ドイツ、フランス、デンマーク等)に比べて安いと言えます。
また、ポーランドの2050年までの経済予測はPwCのレポートが明るいです。
それによれば、2050年までにポーランドは年平均2.5%で経済が成長するものの、出生率が1.3人とEUで最低水準にあり、人口減少が懸念されるとのこと。しかし人口減少に関しては、今後ポーランドの所得水準が上がるにつれて移民にとっても魅力的な移住先となる可能性がある。また、高等教育就学率はEUでも最高水準にあるので、高度人材が今後ポーランド経済の押し上げに寄与する可能性が高いとのことです。
iシェアーズMSCIポーランドETF【EPOL】の運用実績とチャート
設定は2010年5月25日となっています。
設定来のパフォーマンスは0.67%、直近1年間のパフォーマンスはマイナス8.16%です。
設定来のチャート(上図)を見ると、2011年に高値38ドル台を付けて以来株価は回復していません。
直近1年間のチャートでは、ダブルボトムを付けていることが分かります。
「ダブルボトム」とは、株価が安値を付けて一旦反発した後、再び下落したものの、1回目の安値より上の株価で反発して上昇に向かうチャートの形のことを指す
(引用元:ダイヤモンドザイ・オンライン「ゼロから始める株入門【第23回】」)
実際のチャートで見ると、一回目の安値がコロナショック時(3月)の12ドル台で、2回目の安値が10月末の13ドル台です。(つまり1回目の安値よりも2回目の安値が高い)
そこから株価は反発し、ネックラインである18ドルも超えているので、上昇トレンドに入っていると見ることができます。2021年1月19日現在の株価は19.20ドルとコロナ前の21ドルにはまだ届いていませんが、2021年中には突破してくるのではないでしょうか。
iシェアーズMSCIポーランドETF【EPOL】の分配金実績と利回り
年 | 分配金 |
2020年 | 0.27ドル |
2019年 | 0.52ドル |
2018年 | 0.33ドル |
2017年 | 0.50ドル |
2016年 | 0.38ドル |
2015年 | 0.45ドル |
2014年 | 0.81ドル |
2013年 | 0.96ドル |
分配金は2020年が一番下がってしまい、0.27ドルという結果でした。このデータを見ると、平時では0.50ドル前後が妥当なラインかなと思います。
2020年実績の分配金利回りは現在の株価(19.20ドル)に対して、1.40%です。仮に分配金が0.50ドルに戻った場合は2.6%になります。
iシェアーズMSCIポーランドETF【EPOL】の構成企業とセクター
2021年1月15日現在、保有銘柄数は35となっています。
以下に、組入上位10銘柄を示します。
保有銘柄第1位の「KGHMポルスカ」はポーランドを代表する鉱山会社で、銀や銅を生産しています。
保有銘柄第2位の「PKOバンク・ポルスキ」はポーランド最大手の銀行。
保有銘柄第3位の「アレグロ」はEコマースの会社で、ポーランド版Amazonとなっています。2020年10月12日にワルシャワ証券取引所に上場したばかりの、注目企業です。
保有銘柄第4位の「PZU」はポーランド大手の保険会社です。企業買収を通じて保有資産の拡大をしています。
保有銘柄第5位の「CD Projekt RED」はポーランドが世界に誇るゲーム開発会社です。累計世界セールスが3300万本を突破した「ウィッチャー」シリーズを始め、現在は「サイバーパンク2077」をローンチしています。
次にセクター比率ですが、金融が30.92%と全体の3割を占めており、続いて一般消費財・サービスが14.71%、通信が14.06%、素材が12.72%となっています。
まとめ:EUで最注目の成長国ポーランド
ポーランドについて、以前次のようなツイートをしました
ポーランドはEUの中でもかなり期待できる部類に入る成長国です。実際、PwCのレポートでも「ポーランドはEUの経済大国の中で最も高い平均成長率になり、長期的にはロシアを追い越すと予想される。」と書かれています。
ただ、ツイートにもあるように、ポーランドは今後急激な人口減少が見込まれています。まだ所得水準も西欧諸国に比べると高いとは言えず、生産労働人口を補う移民を呼び込むにも魅力的な移住先とはなっていないのが現状です。今後経済成長とともに所得水準が改善し、移民の呼び込みなどを通じて生産労働人口の確保が課題となりそうです。
※当ブログでは特定の銘柄に関する記述がありますが、投資を推奨するものではありません。投資の際は自己判断でお願いします。