EWZはiシェアーズMSCIブラジルETFと言います。「MSCIブラジル・インベスタブル・マーケット・インデックス」への連動を目指しています。2021年1月16日現在、経費率は0.59%、純資産総額は65億4,900万ドル、大手のブラックロック社が運用しています。
ブラジルのマクロデータ(人口や経済成長)
先ずは人口を見てみましょう。
2019年のデータでは、ブラジルはインドネシア・パキスタンに次ぐ世界第6位の人口(約2億1,100万人)がいます。
そして、2050年の人口予測では、ナイジェリアに抜かれて世界第7位の人口(2億3,269万人)となる予想です。一つ後退しますが、南米最大の国であり、引き続き多大な影響力を持つ国の一つであることは変わりません。
次に、ブラジルの経済成長を見ていきましょう。
一人当たり名目GDP、実質GDP成長率ともに、2013年を起点に減少傾向にあります。
それでも、PwCの「平均実質GDP成長率予測(年率:2015~2050年)」によれば、ブラジルは今後も年率3.0%で成長していき、米国の2.4%、ロシアの2.1%、日本の1.4%を上回ることが予想されています。
iシェアーズMSCIブラジルETF【EWZ】の運用実績とチャート
設定は2000年7月10日となっています。
設定来のパフォーマンスは5.94%、直近1年間のパフォーマンスはマイナス19.78%です。
設定来のチャート(上図)を見ると、2008年の5月に100ドル近辺の高値を付けて以来、右肩下がりなことが分かります。
直近1年間のチャートでは、コロナ前の水準(47ドル台)からコロナショック時(3月)には20.82ドルまで株価が下落しており、約55%も下落しました。現在、底値からは回復し、2021年1月16日現在株価は36.89ドルとなっています。
iシェアーズMSCIブラジルETF【EWZ】の分配金実績と利回り
年 | 分配金 |
2020年 | 0.63ドル |
2019年 | 1.20ドル |
2018年 | 1.10ドル |
2017年 | 0.69ドル |
2016年 | 0.59ドル |
2015年 | 0.84ドル |
2014年 | 1.37ドル |
2013年 | 1.43ドル |
分配金は変動が大きく、多いときは年間1ドルを超え、少ない時は0.5ドル台まで下がっています。
2020年実績の分配金利回りは現在の株価(36.89ドル)に対して、1.70%です。仮に分配金が2019年の水準(1.20ドル)に戻った場合は3.25%になるので、その年によって分配金の旨味は変わります。
iシェアーズMSCIブラジルETF【EWZ】の構成企業とセクター
2021年1月14日現在、保有銘柄数は55となっています。
以下に、組入上位10銘柄を示します。
保有銘柄第1位の「ヴァーレ(VALE)」は、世界最大の鉄鉱石・ニッケル生産会社です。現在、鉄鉱石価格の高騰も相まって、VALEの株価はコロナショック時の底値からおよそ191%も上がっています。
保有銘柄第2位の「イタウ・ウニバンコ銀行(ITUB)」は、ブラジル及び南米最大の銀行、第3位は石油、天然ガスなどのエネルギー事業を行う「ペトロレオ・ブラジレイロSA(PBR)」です。
保有銘柄第4位の「B3・ブラジル・ボルサ・バルカオ」は、サンパウロ証券取引所を運営している会社で、第5位の「バンコ・ブラデスコ(BBD)」は、ブラジルで3番目に大きな銀行です。
次にセクター比率ですが、金融が26.01%でトップ、続いて素材が22.83%、エネルギー12.36%、生活必需品が10.19%となっています。
まとめ:資源大国ブラジルへの投資妙味
僕自身、2020年4月末にこのEWZへ投資をしました。
当時はチャートを見て、あまりも安いと思ったので買ってみました。結果的に、4月末はほぼ相場の底だったので、現在値上がり益を享受できています。
結果論ですが、株価が上がってきている要因は何か自分なりに考えてみました
②の鉄鉱石の価格の高騰は、EWZと同じ2020年5月頃から始まっています。つまり、鉄鉱石の価格の高騰とともに、ブラジル経済も恩恵を受け、株価も上がってきているのです。ブラジルの鉄鉱石の生産量はオーストラリアに次ぐ世界第2位で、中国が大きな顧客となっています。中国はいち早くコロナショックから立ち直り、2020年の実質GDP成長率は2.3%と、G20の中では唯一のプラス成長を記録しています。
下図は、中国の2019年10月~2020年10月の自動車生産台数です。コロナショックのあった2月、3月は大きく下げていますが、4月からは徐々に回復し、10月にはほぼコロナ前の水準まで戻っています。
鉄鉱石は工業生産にとって必需品なので、こうした中国の需要の高まりの影響を受け、価格の上昇、そしてブラジルの資源株にもプラスの影響をもたらしたのではと思います。
さらに、2020年後半にはドル安が顕著になりました。一般的に、ドル安の局面はコモディティや新興国投資に有利となることから、しばらくはブラジルにとっても追い風になるのではと考えています。
※当ブログでは特定の銘柄に関する記述がありますが、投資を推奨するものではありません。投資の際は自己判断でお願いします。