EWMはiシェアーズMSCIマレーシアETFと言います。「MSCIマレーシア・インデックス」への連動を目指しています。経費率は2021年1月20日時点で、0.51%、純資産総額は4億900万ドル、大手のブラックロック社が運用しています。
マレーシアのマクロデータ(人口や経済成長)
先ずは人口を見てみましょう。
2019年のデータでは、マレーシアの人口は約3,195万人で世界第44位となっています。東南アジアの中では比較的人口は少ない方ですが、オーストラリアの人口(約2,500万人)や台湾の人口(約2,300万人)より多くなっています。
でもここはさすが東南アジアの国です。2050年には人口が4,000万人を超える予想となっており、安定した人口増加が期待されます。
次に、マレーシアの経済成長を見ていきましょう。
実質GDP成長率は概ね4%~6%と、かなりの高成長であることが分かります。一人当たりGDPは、2019年のデータで1万1,190ドルで東南アジアではシンガポール、ブルネイに次ぐ高い数字となっています。
また、世界銀行によれば、マレーシアは遅くとも2024年までには高所得国の仲間入りをするのではないかと言われています。世界銀行が定める高所得国の定義は、一人当たりGNIが12,236米ドル以上です。2019年のマレーシアの一人当たりGNIは11,230米ドルなので、後1,000ドルで高所得国として見なされます。
iシェアーズMSCIマレーシアETF【EWM】の運用実績とチャート
設定は1996年3月12日となっています。
設定来のパフォーマンスは1.73%、直近1年間のパフォーマンスは3.26%です。
1999年来のチャート(上図)を見ると、2013年に67ドル台の高値を付けています。それ以降は株価は下がっており、2007年より前の株価水準まで現在は下げています。
直近1年間のチャートを見ると、既に株価はコロナ前の水準まで戻っていることが分かります。今後は実体経済の回復とともに、更なる株価上昇に期待です。
iシェアーズMSCIマレーシアETF【EWM】の分配金実績と利回り
年 | 分配金 |
2020年 | 0.54ドル |
2019年 | 0.82ドル |
2018年 | 1.14ドル |
2017年 | 1.84ドル |
2016年 | 1.67ドル |
2015年 | 2.01ドル |
2014年 | 1.98ドル |
2013年 | 1.91ドル |
分配金は2020年が一番下がってしまい、0.54ドルという結果でした。2018年までは毎年1ドルを超えていたので、また元の水準に戻ることを期待します。
2020年実績の分配金利回りは現在の株価(28.07ドル)に対して、1.92%です。仮に分配金が2018年の水準の1.14ドルに戻った場合は4.06%と高水準になります。
iシェアーズMSCIマレーシアETF【EWM】の構成企業とセクター
2021年1月19日現在、保有銘柄数は38となっています。
以下に、組入上位10銘柄を示します。
保有銘柄第1位の「パブリック銀行」はマレーシアで3番目に大きい銀行です。マレーシアにはマレー系と華人系の銀行がありますが、パブリック銀行は華人系になります。
保有銘柄第2位の「マラヤン銀行」と第4位の「CIMB銀行」はどちらもマレー系の銀行で、それぞれマレーシアで1番と2番目に大きい銀行です。
保有銘柄第3位の「トップ・グローブ」は世界最大の医療用手袋のメーカーです。実際コロナ禍で需要は増大し、同社は過去最高益を計上しました。株価についても、コロナ前に1.80リンギットだった株価は、2020年10月には9.60リンギットになるなど、実に5倍以上の上昇を見せました。
保有銘柄第5位の「テナガ・ナショナル」はマレーシアの電力会社です。インドネシアやインドでも事業を行っており、東南アジアでも影響力のある会社です。
次にセクター比率ですが、金融が31.19%と最も多くなっており、続いてヘルスケアが16.34%、生活必需品が14.25%、通信が8.69%となっています。
まとめ:高所得国だけど成長にも期待
IMFによる2021年の実質GDP成長率の予測によると、マレーシアは7.8%の成長と、近隣のインドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムを上回っています。
また、マレーシアは国家プロジェクトとして情報通信技術に積極的な投資を行ってきました。その成果として、行政サービスの効率化や、ブロードバンドの普及、ITを活用した教育、インフラ設備の自動化の取り組みなどを進めています。
東南アジア諸国の中には、ベトナム・インドネシア・フィリピン等これから伸び盛りを迎える国もありますが、一方でシンガポールのように成熟した国もあります。そのような中で、マレーシアは一定の経済の成熟と将来の成長をどちらも併せ持つ、稀有な国だと思います。
そんなマレーシアに投資ができるEWMは、ポートフォリオの一部としてバランサーの役割を果たしてくれるのではと期待しています。