家計見直し

【保険見直し】「保険相談室」代表の後田亨さんに還暦の母の保険相談をしてみた

もうすぐ還暦を迎える母が僕にはいます。還暦を前に一度支出を見直そうということで、加入している保険を見せてもらいました。すると、「生命保険(払込期間60歳まで)」と「終身医療保険」に入っていることが分かりました。

ただ、生命保険は60歳で払込が終わりと、今更見直してもあまり意味がないので、今回は「終身医療保険」のみ見直そうということになりました。

▽母が現在加入中の保険がこちら▽

保険種類保険金・給付金保険料(月)
総合医療保険60日型終身払込日額 5,000円2,385円
女性医療特約120日型80歳満了日額 5,000円1,590円
先進医療特約2,000万円まで55円
合計4,030円

医療保険に月4,030円、年間にすると48,360円の保険料を支払っており、終身払いなので女性の平均余命の89歳まで保険料を支払ったとすると、年間48,360円×29年間=1,402,440円になります。中古車1台買えるレベルですね。

保険相談室の後田さんに保険相談をした理由

保険のことを相談した理由ですが、1冊の本を読んだことがきっかけになります。

▽その本がコチラ▽

今回保険の相談をした、保険相談室の後田亨さんが書いた「いらない保険」という本です。母の保険を見直そうとしたときに、5冊ほど保険に関する本を読んだのですが、その内の1冊がこの本でした。後田さんは実際に大手の生命保険会社で営業マンとして約10年、その後代理店での勤務を経て現在は保険相談室をされている保険相談のプロの方です。

保険の相談というとどこも無料でやっている所がほとんどの中、後田さんは、有料で保険相談をされています。それは、保険の無料相談が保険商品を売ることで手数料を得る商売体系であるのに対して、後田さんは相談自体にお金をかけることで、そもそも相談者に保険が必要か否かというところから話をしてくれるということです。

僕は無料で相談するという人程怖い物はないと考えています。世の中、友達同士でない限り、完全ボランティアなんて存在しませんよね。そこで、有料で相談を受けるという後田さんの姿勢に共感しました。

>>>保険相談室の後田亨さんのサイトはコチラ

民間の医療保険は不要?

後田さん曰く、必要な保険は大きく分けて二つあるそうです。

  1. 自立していない子どもがいる家庭の世帯主が、一定期間の死亡保障を持つための定期保険や収入保障保険
  2. 相続対策のための生命保険

①自立していない子どもがいる家庭の世帯主が、一定期間の死亡保障を持つための定期保険や収入保障保険

例えば、小さいお子さまがいる家庭で、一家の大黒柱であるお父さんが突然病気で亡くなってしまったという場合の保険です。養育費・教育費に多大な出費がこの先もあるでしょうから、そういう人の場合は、一定期間掛け捨ての保険に入ることを薦められています。

②相続対策のための生命保険

現在、3,600万円以上の資産を持つ方が亡くなった場合、被相続人に相続税が発生する仕組みになっています(参考:東京税理士会「相続税の計算方法」)。その際、法定相続人1人につき500万円までであれば生命保険控除が利用できます。そのため、資産が3,600万円以上あり、相続対策をしたい方は生命保険に入るという選択肢が考えられます。

以上、小さい子どもがいる家庭の「死亡保険」と相続対策のための「生命保険」が必要な保険になります。ここまで聞くと、

「えっ医療保険は?」

「先進医療はどうするの?」

という疑問が浮かびますよね。かくいう僕も浮かびました。

このことについて直接後田さんに伺ったところ、日本の全ての国民は公的医療保険である「健康保険」に加入していることから、保険料負担が原則3割で抑えられる。また、医療費が一定以上に達すると、「高額療養費制度」という制度があるため、医療費の負担が抑えられるということをおっしゃっていました。医療費等を、民間の保険に加入して調達しようとすると、保険会社の経費や収益も含まれる保険料を負担することになるので、淡々と自己負担するほうが賢明だというわけです。

高額療養費制度とは・・・

同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超えた分が、あとで払い戻される制度。

(出典:「全国健康保険協会」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150/

確かにこれには僕も納得です。病気やケガをしても、公的保険に入っていれば家計が破綻するような出費は避けられます。

では、健康保険が適用されないような「先進医療」はどうするのでしょうか。これについても後田さんに伺ったところ、

「先進医療はまだ効果が実証できるデータ等が不足していて、健康保険が適用されていない治療法。医療関係者や保険会社の社医からも『現段階では実験的な医療という認識をすべき』という証言を得ている。」というお話をされていました。

実際、2017年に先進医療を受けた患者は全国で約4,000人と、実に日本の総人口のわずか0.004%に過ぎないんですよね。また、先進医療の中でも有名な重粒子線治療を受けられる施設は全国で6ヵ所、陽子線治療を受けられる施設は全国で14ヵ所と、非常に限られています(出典:「保険はこの5つから選びなさい」長尾義弘著)。この事からも、先進医療はまだまだ「発展途上の治療法=実験段階の治療法」という事が言えそうです。

でも、ここでまた一つ疑問が残りました。

「先進医療って、月額せいぜい100円程度なんだから、万が一のために入っておいてもいいんじゃない?」

これに対する後田さんの回答はこうでした。

「もし保険会社が本当に顧客のことを考えて保険を設計するなら、先進医療に特化した保険で、月額100円で年払い1,200円という保険を作ったらいい。でも現状では、先進医療のみを保障内容とした保険は存在しない。」

これには僕も「なるほど!」と思いました。確かに、先進医療の保障を得ようとすると、特約として医療保険の主契約につけるか、もともと主契約に含まれているかのどちらかで、先進医療のみを保障する保険は存在しないんです。これは、保険会社の都合で、通常の医療保険とセット売りにしたいからなのだと思います。これが保険会社のビジネスの”肝”ですかね。

以上のことから、結論「民間の医療保険は不要」、そして公的保険の「健康保険に入ってさえいれば良い」という話に落ち着きました。

営業マンの身内話はセールストーク!?

これもずばり、僕が後田さんに聞いた質問です。

よく、保険の営業の方の話を聞くとやたらと自分の話をするんですよね。。。汗 

別にこちらから聞いてもいないのに、

「私の妻が・・・」、「私の息子/娘が・・・」

と話を始めて、相談開始から2~3時間たってからようやく保険の内容に突入ということも。

これは後田さん曰く「セールストークの一部」のようです。

営業の方は自分の体験談や身内話を”あえて”することで、聞き手にインパクトを与えて、惹きつける、そういう指導をしている保険会社もあるのだそうです。

たまに、「保険の営業の人がいい人だからこの保険に入った」とか、「この銀行マンだから投資信託を買った」と言う人がいますが、それって本質からずれてない?と僕は思ったりします。

だって、その営業の方はあくまでも保険や金融商品を売っているだけで、はっきり言って売ればお終いなんです。あなたが日常の生活で何か困ったことがあっても助けてはくれません。でもあなたの友達や家族ならきっと助けてくれるでしょう。要は、基本は営業の方とはビジネスライクの関係なので、こちらも何か商品を購入する際には、「人」ではなく「商品」を見なくてはいけないと思うのです。

よって、保険の営業さんの話を聞くときは、巧みなセールストークに騙されることなく、「保険の内容」にフォーカスして話を聞く必要があると改めて感じました。

仮に医療保険に入るならどの保険がいい?

日本は公的医療保険制度が整っているので、民間の医療保険制度に入る必要がないというのは何となく分かったけど、もし仮に医療保険に加入するならどの保険が良いのかも聞いてみました。

後田さんの答えは、ずばり

「都道府県民共済」です。

都道府県民共済は、全国生活協同組合連合会が実施している共済事業で、0歳~85歳まで加入できます。主要な制度の月の掛け金は一律で2,000円と決まっており、死亡保障つきの「総合保障型」か医療費の備えを重視した「入院保障型」で選ぶことができます。

この都道府県民共済の一番のポイントは、経費を抑えた運営がなされていて、さらに、決算後、各種給付金の支払と見込みの実績の差から生じた剰余金の大半を加入者に「割戻金」として返還していることです。割戻率は都道府県によって違いますが、地域によっては支払った保険料のおよそ30%が戻ってくるというケースもあります。

例えば、都民共済の令和元年度の割戻率の実績として、「総合保障型」と「入院保障型」が37.31%となっています。仮に月2,000円を1年払ったときには、(月額2,000円×12ヵ月)×37.31%=8,954円が割戻金として戻ってくることになります。これは実質月の掛け金が1,253円になる計算なので、非常に割安感が増すと思います。(参考:都民共済「都民共済について」

結論:で、保険どうするの?

後田さん、母、僕の3人でZoomを使って1時間保険について話をしました。結論はもちろん、後田さんでも僕でもなく、母自身が出すことです。

医療保険を解約するのか、それとも続けるのか、もしくは別の保険に加入するのか。選択肢はいくつもあるかと思いますが、間違いないのは、日本の公的医療保険制度はかなり頼りがいがあるということです。

もしかしたら今後、国民の医療負担が増える可能性はあるかもしれませんが、少なくとも政府が国民から保険料をぼったくるような制度にはしないでしょう(笑)。

民間の医療保険に入れば、当然僕たちの保険料から会社の経費(人件費などの固定費)も賄われています。そういったことを念頭に置いて、僕たちが入るべき保険は何なのか今一度良く考えてみたいと思います。