僕は3年ほど前に海外での勤務を終えて、日本に帰国しました。
同時に、日本での転職活動を始めました。当初は、もっぱら「海外駐在」や「海外営業」の仕事に応募をしていて、海外の取引先に出向いて折衝をするような仕事を希望していました。
しかし、転職活動を進めいていく中で「パニック症」と「広場恐怖症」を発症し、思うように身動きが取れない状況になりました。運良く受かった企業にも、当時の体調を理由に辞退をすることに・・・。
本格的に、キャリアの再考をせざるを得ない状況となりました。
パニック症・広場恐怖症になったきっかけはこちらをお読みください。

移動を伴わない仕事は何か考えた
まず、パニック症と広場恐怖症の特徴の一つとして、’’公共交通機関が苦手’’ということがあります。僕の場合は特に電車です。ですので、「営業職」は除外しました。営業なのに移動できませんでは仕事になりませんからね・・・
そこで、’’移動を伴わない仕事とは何か’’を挙げてみました。
・IT系、語学の教師、経理、家でできる仕事(翻訳、プログラミング、動画編集など)
この中で、IT系はあまりイメージができませんでした。語学力を生かして語学の先生や翻訳系の職につくということも、それほど魅力的には映りませんでした。この中で、一番やってみたいと考えたのは、「経理職」でした。
前職で小さな事業を立ち上げ、運営に携わった時に、自分の管理能力のなさを感じていました。特に「経理・財務」は苦手意識があり、勉強の必要性を痛感していました。
簿記の勉強を始める
パニック症と広場恐怖症の症状が進行して、段々と家に引きこもりがちになりました。しかし、ただ引きこもっているだけではだめだと思っていたので、日商簿記の勉強を始めました。まずは簿記3級から。勉強を始めると、実務で良く分からなかったことが少しずつ分かるようになってきて、面白くなってきました。
3ヵ月ほどの勉強で簿記3級は無事に合格し、そのまま簿記2級を勢いで目指しました。今度は通信講座を受講し、商業簿記と工業簿記を学びました。2級は3級よりはるかに難しく、直前まで受かるかどうかぎりぎりの状態でしたが、無事に一発合格することができました。
経理業務の仕事に就く
無事に日商簿記2級に合格し、症状も治療のおかげで段々と落ち着いてきました。
いよいよ社会復帰だと考え、転職活動を再開。
今回は前回の「営業職」ではなく、「経理職」に絞って就活をしました。幸い数社から内定を頂き、自宅から電車で10分ほどの小さな会社の経理の仕事に就くことができました。
ただ、経理職についたはいいものの、やる作業は帳簿を作ったり、データの入力、電話対応などの単調な作業に終始していました。新人なのだから当然のことなのですが、どこか物足りなさを感じていました。
会計士かファイナンスの道に行くか迷う
経理の仕事をしていく中で、自分はただデータを入力したり、受身で仕事をするのではなく、財務諸表のデータをしっかりと読み込み、主体的に「経営」に関わっていきたいのだと考えるようになりました。
そこで、より専門性の高い領域を目指したいと考えるようになりました。まず初めに考えたのはUSCPA(米国公認会計士)です。これは、米国の会計士資格で、会計の専門家として国際的に仕事をするには最適の資格だと考えました。簿記2級を取っていたので、次はBATIC(国際会計認定)の勉強をして、USCPAを目指すという道を漠然と考えていました。
しかしそんな折に、オーストラリア留学時代の友人(モルディブ人)と会う機会がありました。彼は、オーストラリアの名門メルボルン大学院のMaster of Finance(ファイナンス修士)を卒業していて、これから実家のホテル経営を継ぐという話をしていました。その中で、CFAという資格の話をしていました。CFAは”Chartered Financial Analyst”の略で、日本語だと米国証券アナリストと訳されます。資格はLevel1~Level3まであり、所定の実務経験と、最高難易度のLevel3を取得して初めてCFAチャーターホルダーとして認められます。彼の友人にも何人かCFAホルダーや、勉強をしている人がいるとのことでした。
家に帰ってからネットで調べてみると、日本では約1,300人ほどしかCFAホルダーはいないものの、「世界中の無数にあるファイナンス資格のなかで、圧倒的なステータスを誇る米国の証券アナリスト資格」とTACの紹介ページには書かれており、単純な僕は「これだ!」と思ったのでした。
海外大学院進学とCFAを目指す
ただ、僕は金融関係で仕事をしたこともなく、大学の学部も金融や経済とはほぼ無縁の世界だったので、いきなりCFAを目指すのはハードルが高いかなと考えました。そこで、先にも出てきたモルディブ人の友人をロールモデルに、海外の大学院に進学という選択肢を考え始めました。
調べていくと、University Affiliation Program(大学提携プログラム)といって、CFAのカリキュラムを大学や大学院で学べるプログラムがあることを知りました。例えば日本であれば、早稲田大学や一橋大学のMBAコースが提携プログラムに当たるようです。
海外の大学院で「修士号」を取得できることに加えて、CFAになるための準備もできる。自分にとってこの道が最適だと考えました。
方針が決まったら行動するのみ!
方針が決まったので、「海外大学院の入試」、「CFAの勉強」、および「留学資金の準備(貯金、労働、借金)」を同時に行っていきました。
僕は大学院に行くなら海外!と決めていたので、そこは迷うことがなかったのですが、どこの国にするかで迷いました。ヨーロッパ留学説明会や、オーストラリア留学説明会に行ったり、アメリカの大学院なども調べましたが、最終的には自分が学生時代に留学をしたオーストラリアに絞りました。オーストラリアは治安が良く、住んだこともあるので安心できるし、勉強する環境が整っています。日本にはCFAのAffiliation Programはまだ4校(2020年10月時点)しかありませんが、オーストラリアには実に23校がAffiliation Programに認定されています。
オーストラリアの大学院入試は基本履歴書・大学の成績表・英語力の証明(IELTSやTOEFLなど)があれば応募ができるので、日本でいう大学入試試験のようなものはありません。僕の場合も応募書類を準備して応募してから、2か月以内で結果が出ました。数校受験して、落ちてしまった学校もありましたが、第一志望の大学院から合格を頂くことができました。
2020年10月現在、コロナの影響で大学院入学が延期となっていますが、早ければ来春にでも行けるように、準備をしている所です。
▽海外大学や大学院のことも記事にしていますのでご興味のある方は見てみて下さい▽

最後に:パニック症・広場恐怖症でもキャリアは描ける
「パニック症・広場恐怖症をきっかけにキャリアチェンジ!?」というタイトルで書いてきましたが、パニック症になっても、考え方次第で自分の好きな・得意な仕事を目指すことはできるのだと思います。僕はパニック症になる前は、金融の道を目指すことになるとは夢にも思っていませんでした。むしろ苦手意識が強く、避け気味でした。しかし、パニック症になったことで、自分の苦手意識を変えるチャンスかもしれないと考え、引きこもりの期間を勉強にあてました。すると、今まで苦手意識の塊だったものが、少しずつ分かることで楽しくなっていったのです。
最終的に、その道を究めたいと思い、大学院進学・そしてCFA資格を目指すようになりました。
今の自分はまだ何もつかんでいません。大学院進学も、コロナの影響で延期を繰り返しており、まだ出国の目途はたっていません。それでも、日々前を向いていたらいつか必ず行けるようになると信じています。仮に万が一行けなかったとしても、違う道が必ずある。そう思っています。人生では想定外のことがたくさん起こりますが、変化を恐れずにこれからも前向きにやっていきたいと思います。
▽僕がパニック症になった時に参考にした本▽▽パニック症・広場恐怖症の関連記事です▽
