パニック症

パニック症・広場恐怖症になって苦しかったこと・辛かったこと

よく、パニック症になって何が辛かったかと聞かれることがあります。振り返ってみて、パニック症を発症してから自分が「苦しかった」や「辛かった」と思うことを挙げてみます。

友人や知人に会いに行けない

これが一番苦しく、歯がゆかったかもしれません。

要は、電車に乗れないので、友達に会いに行けないのです。僕は都内に住む友人が多かったのですが、自宅から電車で1時間以上かかる道のりでした。でも、お誘いがかかれば、「もしかしたら行けるんじゃないか」と考え、「行く」と返事をして当日を迎えることもありました。ただ、いざ電車に乗るとなると不安が増してきて、電車に乗れなかったり、また乗ったとしても途中で降りてしまったりと、結局目的地にたどりつけず約束をドタキャンしてしまうということがありました。

時には、友達数人との飲み会で、コースの予約だったのですが、僕が当日にドタキャンをしてしまったために「キャンセル料」を取られ、友人に余分な負担をかけてしまうこともありました。

長時間拘束される場所(例:美容院や歯医者)に行けない

「パニック症」及び、「広場恐怖症」になると長時間身動きがとれないような状況に恐怖感を覚えます。僕の経験で言うと、美容院や歯医者が特にきつかったです。美容院だと、当然髪を切ってもらっている間は動けません。僕は美容室に入る前から少し憂鬱な気分で、「髪を切ってもらっている間に発作が起きたらどうしよう」、とドキドキしながら髪を切ってもらっていました。以前は美容師さんと楽しく会話をしながら切ってもらっていたのに、当時は話よりも自分の体調の方に意識が向いてしまい、冷や汗をかきながら髪を切ってもらっていたような気がします。

また、歯医者だと、一番嫌だったのは麻酔をして治療するときです。長時間口を開けていないといけないことに加えて、身動きが全く取れません。普通の歯科検診に行ったつもりが、虫歯が見つかりその場で治療となった時には、お医者さんの目を盗んでぱっと頓服薬を飲んで不安を鎮めるということもやっていました。

就職内定先を辞退せざるを得なかった

パニック症を患った当時は転職活動の真っ最中でした。僕はもともと留学や海外勤務経験があったので、海外取引のある仕事がしたいと考えていました。幸運にも、ある企業から「海外営業職」の内定をもらいました。その仕事は年間およそ3分の1が海外出張で、パニック症の自分にとって一番苦手な’’公共交通機関での移動’’が必須の職務内容でした。転職活動をしていた時は、「自分はもうすぐ直るから大丈夫だ」と自分をだましだましやっていましたが、治ることはなく、内定を辞退せざるを得ない結果となりました。辞退した際には、正直に自分の症状のことと経緯を話しました。希望していた仕事でもあったのでとても残念でしたが、治療を優先することに決めました。

日常の生活が思うようにできない

一番ひどかった時は、家にいても息苦しさや動悸を覚えることがありました。

例えば、ごはんを食べているときに急に息苦しくなって、窓を開けて外の空気を吸ったり、資格の勉強中に少しストレスがかかるだけで気分が悪くなったりと、非常に”センシティブ”な状態でした。この状態まで行くと、何をするにも臆病になってしまい、日常生活が思うように送れなくなります。また、パニック症を患っている本人(僕)だけでなく、同居している家族にも影響があります。家族も、すごく神経を使いながら日々の生活をしていたと思いますし、それこそ精神的に大変な負担であったと思います。

お先まっくらで引きもり状態

ここまでは物理的にできないこと・支障があったことを挙げましたが、当然「内面」にも多大な影響がありました。先にも述べた通り、僕は海外志向が強く、自分のキャリアを考える上で「海外」は外せないパーツでした。しかし、公共交通機関に乗れなくなってしまったので、海外どころか1駅や2駅先の場所にも行けなくなってしまったのです。それまでのキャリアプランが全て壊れてしまった気がして、文字通りお先がまっくらになりました。心配してくれる友人からの連絡にも返信をしなかったり、連絡を遮断してしまって、家に引きこもりがちになりました。

友人や知人に言いづらい

上記ともつながる部分がありますが、友人と連絡を遮断してしまった理由の一つとして、パニック症のことが言い出しづらかったということがあります。自分の中の”プライド”や、”恥じらい”のようなものがあったのだと思います。’’自分は弱い人間’’だという風に思われたくなかったし、自分で認めるのも嫌だったのです。

ただ、ここで一つ言えるとしたら、実際にカミングアウトしたことで楽になれたということです。なかなか言いづらかったのですが、仲のいい友達に思い切って自分の症状について話してみました。すると、

「あ~そうだったの!?もっと早く言ってくれればよかったのに~」

と言われたのです。それも、ごく自然なトーンで。

「それだったら全然家の近くまで行くから会おうよ~。」

とまで言ってくれました。僕自身、「弱みを見せたくない」と人に会うのをためらっていましたが、自分の症状について話したことで、友人との交流が復活し、前向きな気持ちを持つきっかけになったと思います。

まとめ

ここまで、「パニック症で苦しかったこと・辛かったこと」を書いてみました。総じて暗い内容なので、僕自身も書いていて少しブルーな気分になりました(笑)

ただ、苦しいことはあるかもしれないけど、最後にも書いた通り、思い切ってカミングアウトしてしまうのもありだと思います。僕はカミングアウトしたことで少し楽な気持ちになれたし、自分ひとりで抱え込まないようになりました。

自分の症状について認めてあげること。そして、他の人にも知ってもらう。これは恥ずかしいことでもなんでもありません。

一人で抱え込まずに助けを求めましょう。

そして一緒に頑張っていきましょう。

▽僕がパニック症になってから参考した本です▽

▽僕自身が電車に乗れなくなったときに読みました▽